■ 平兵衛 とんかつ 東京・上野

すごく変わったとんかつ屋さんにいってきた
■とんかつ 平兵衛(へいべい) 東京・上野

JR上野駅から徒歩5分
すこし路地裏には行ったところにあるこのお店
かなり古くからやってるだろうなと思わせる店構えだけど
遠目に見るとよくある『街のとんかつ屋さん』
ところが、近づいてみるとちょっと違う

まず、このカンバン
・油を全く劣化させません
・肉は一切叩きません
このふたつは、なるほどなぁ! と思わせるんだけど
横に書いてある注釈が刺激的
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・油を全く劣化させません
黒く汚濁した油をつかうほとんどの他店は傷害罪といえます
・肉は一切叩きません
叩かねば柔らかくできないのは下手と言うことです。
当店ではこの程度は常識です
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う~ん、すごい自信♪
この他にも店の前にいろいろ書いて貼ってある。
・お急ぎのお客様、ご遠慮願います。
・食品分析比較
当店・他店・生肉 の比較表が書いてあって
水分・脂質・エネルギーなど7項目の数値が記入してあり
詳細な解説も記されている。
これによると『当店』のものは『他店』に比べて優れているらしい。
いちおう科学的分析に基づいて『当店』の優位性を述べているので
コレを読んで別に悪い気はしないが、ちょっとなんか変。
食品分析比較や詳細な解説の写真も撮ってきたが
無断で掲載すると怒られそうな雰囲気なのでやめておく
さて、この店は通りがかりではなく、狙い撃ちできたので
こういうカンバンにも躊躇せず店内にはいる
店内には、いかにも~ と思わせるおじさんが一人
かなり時代がかった雰囲気の店内。
聞いてみたところ、創業85年だそうだ。
このおじさんは3代目
とんかつメニューは1種類
・とんかつ定食 2300円
これも注釈付き
‐他店で「とんかつ」等と称するものとは全く別の物です
こういうことを堂々と書いてあると、なんだかワクワクする!
店頭に『お急ぎのお客様、ご遠慮願います。』と書いてあるくらい
だからきっと時間がかかるんだろう。
このおじさん、注文を受けると冷蔵庫から
かなりでかい豚肉を出してきて、コロモをつける。
そして、鍋に向かってなにかブツブツいってる。
ほら、電車の運転手が安全確認のために言ってるような感じ
さて、とんかつの調理に入る
油をしばらく温めたあと、豚肉を入れる。
ふつう、肉をいれると、油がじゅわ~と音を立てるけれど
ぜんぜん音が聞こえてこない。
かなり低温のよう。

しばらくすると、お箸で豚肉をゆさゆさ動かし始める
これを数分続けたあと、こんどはお玉で
隣に置いてある別の鍋から油を追加する。
きっと温度の違う油をいれて、温度調節をしているのだろう
想像だが、見た感じでは、温度の低い油をいれて
油温を下げてるような気がする。
油を追加すると、こんどはお箸で肉をぎゅうぎゅう押さえてる
ぎゅうぎゅう
ゆさゆさ
ぎゅうぎゅう
ゆさゆさ
そして、再度、隣の鍋から油を追加
ぎゅうぎゅう
ゆさゆさ
ぎゅうぎゅう
ゆさゆさ
こんどはお玉で鍋底をごしごしこする
ごしごしごし
そして、鍋の上に浮いている油の泡を
お玉ですくって隣の鍋にもどす。
このようなことを20分~30分ほどやる。
大将『 はい、おまたせ、もうすぐ揚がりますからね』
この大将、口数はすくないが、別に怖い雰囲気ではない

ものすごく手間暇をかけて揚げられたとんかつ
すんごい分厚さ
3センチくらいはあるよ。
テーブルの上にはふつうのとんかつソースと粒マスタード
そして、ケチャップと赤いキャップの食卓塩
いつものように一口目はなにもつけずに食べてみる。
ふぅ~ん、なるほど って感じ。
店頭に貼ってあった『食品分析比較』の水分の項では
当店:55%
他店:34%
と書いてあったが、食べた感じ、たしかに水分はかなり多そう
この食感を言葉で表現するといろんな書き方ができる。
良く書けば『とってもジューシー』
悪く書けば『水っぽい』
どちらに感じるかはその人の食の好みによると思う。

ひきつづき、塩をかけて食べる。
そして、ソースをかけて食べる。
かけるモノによってかなり味が変わってくる
ここのとんかつは塩よりソースがあうようだ。
肉の柔らかさについてだが、
ぼくがいつも参考にしている『東京のとんかつ屋さん』のHPでは
ここのとんかつの柔らかさを絶賛していた
しかし、今日、実際に口にしてみると、それほど柔らかく感じなかった
肉質によるものなのか、揚げ方によるものなのかはわからない。
このとんかつ、250gくらいあるように見えるが、
意外にも最後まで簡単に食べれてしまった。
このおじさんの特殊な揚げ方により、コロモも豚肉も
油をたくさん吸い込んでいないので、
見た目以上にあっさりとしているのだろう
さて、総合評価だが、
東京のとんかつ屋さんでは10段階評価で10をもらっている。
それでかなりの期待をいだいてやってきたが
残念ながら、そこまでの評価はむずかしい。
これは好みの問題もたぶんにあると思うが
やっぱり、高田馬場のとん太には遠く及ばない。
しかし
じっくり手間暇をかけてとんかつを揚げる光景を楽しみ
巨大なとんかつがスルッとお腹にはいったことを驚き
昭和の初期の雰囲気のお店の中で
とっても楽しめた1時間であった。
機会があれば、いちど訪問して欲しいお店だね~
ぼくはもう行かないと思うけど・・・
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【訪問日】 2008年2月
【店 名】 とんかつ 平兵衛
【ジャンル】とんかつ
【住 所】 東京都台東区上野6-7-13
【最寄駅】 上野駅
【キーワード】 とんかつ トンカツ 豚かつ 豚カツ へいべい へえべえ
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平兵衛 (とんかつ / 上野、京成上野、上野御徒町)
★★☆☆☆ 2.5